離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
息苦しかったのに収まってきた。

もしかして苦しかったのは、帯のせいというより緊張のせい?


「よかった。やっと笑ってくれた」
「……すみません。こういうの慣れなくて」


私を笑わせるためにわざと言ったのかもしれない。
それならばますます気遣いのできる人だ。


「私もです。堅苦しいのは苦手で。ふたりしかいませんし、リラックスして食べませんか?」
「そうですね」


竹内さんの身代わりなので絶対に粗相をしてはいけないと気を張っていたけれど、そもそも見合いが初めての私にそんな余裕があるはずもない。

背伸びしても失敗しそうなので、いつも通りでいいのかも。
いや、むしろ失敗して断られたほうがいい?

そんなことを考えながら、食事を進めた。


「竹内さんは、看護師さんだとか」
「はい。小児科病棟で看護師をしています」


なんて、思いきり嘘をつくのが忍びない。


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