離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
彼は素知らぬ顔でそう言うが、私の気分が沈んでいるのをどうして知っているの?

実は私が担任している小学校三年生の男の子が、病状が思わしくなくて院内学級に通えなくなってしまったのだ。

子どもたちは治療優先のため、こうしたことは珍しくはないのだけれど、あおぞら教室でもうすぐ予定されている遠足を楽しみにしていた彼がふさいでしまっているのがいたたまれない。


「そう、ですよね。着てみます」


私は素直に洋服を受け取り、試着室で着替え始めた。

着物を脱いで、ピンクのスカートをはいた鏡に映る自分を見つめる。

顔に出てる?

その男の子は今週の水曜にドクターストップがかかってしまったのだが、ほかの生徒を動揺させてはいけないと明るく振る舞っていたのに。

教師、失格だ。

津田さんは、ドクターに面会に来たときに私を見かけたのだろうか。
それだけで気持ちが落ち込んでいるのに気づく洞察力もすごい。
< 30 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop