離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
見合い相手の家に、見合い当日に行く人なんているだろうか。

さっきから妻がどうとかと話しているけれど、意気投合して結婚しましょうということになった記憶もない。


「だけど、カフェでは叫びたくても叫べないぞ」
「叫ぶんですか? 私」


なにを?


「多分ね。それじゃあ月島さんの家?ご家族と一緒に住んでる?」
「ひとりですけど、絶対ありえません!」


味楽での紳士的な印象と随分違う。
無茶ぶりが過ぎて、クラクラしてきた。


「目立ってるから乗ろうか」
「あ……」


痴話(ちわ)げんかでもしているように見えるのかもしれない。

また周囲の視線を集めているのに気づいて、素直にタクシーに乗り込んだ。


「いきなり手を出したりはしないから。松村先生の手前もあるし」


警戒心たっぷりの眼差しを向けていると、津田さんは苦笑している。

< 34 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop