離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
「さて、行こうか」
「……はい」


いろいろ呑み込めないことだらけだけれど、再び彼に腕を出されたので控えめに手をかけた。

恋人同士みたいで、おどおどしてしまう。


「すみません。おいくらですか?」


どうやら支払いは済んでいるようだ。

彼に恥をかかせないように店を出てから尋ねると「俺が払うって言っただろ」と素知らぬ顔。


でもこのスカート、二万九千八百円という値札がついていた。
今月は食費を切り詰めなくてはと覚悟したのに。


「ですけど」
「一ノ瀬の売上に貢献しただけだし、妻を着飾らせたいと思ってなにが悪い」


また妻と言われて、困惑しかない。


「その妻というのは……」
「まあ、とりあえず乗って」
「はい。これからどちらへ?」


問うとタクシーを止めた彼は少し考え込んだ。


「うーん、そうだな。込み入った話をしたいから、俺の家でいい?」
「よくないです!」


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