離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
言葉にならないというのは、こういうことを言うのだろう。

私の部屋の何倍かある広いリビングは大きな窓が印象的で、まるで空に浮かんでいるような錯覚を感じる。

私は吸い寄せられるように窓際まで進んだ。

そこから見えるのは、水平線まで続く海。

アザーブルーの空を切り裂くように飛行機が飛び立っていく。

心の琴線(きんせん)に触れるとでも言うのか、あまりに美しい光景に声すら出なくなった。


「気に入った?」
「はい」
「俺も。この景色を見て即決したんだ」


即決できるほどの財があるのがうらやましい。


「実は弟がパイロットを目指していて」
「そう」
「今は訓練のためにアメリカにいます」


驚く彼に伝えると、かすかに微笑みながらうなずいている。


「弟さん、夢に向かって頑張ってるんだね」
「はい」


津田さんが弟を褒めてくれるのがうれしかった。


「コーヒーでいい?」
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