エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
朝比奈さんが会社に戻った後も芽衣との話は尽きず、ラストオーダーの時間になって名残惜しく店を出て帰路についた。
「そうか。仲がいいんだな」
「はい。親友ですから」
芽衣と取り留めのない話をするのは楽しくて、時間があっという間に過ぎる。
今度はいつ会えるのだろうと考えながら自動ドアを通り、ホテルのエントランスに待機していたタクシーに乗り込む。
「赤坂まで」
「えっ? 赤坂?」
彼が田園調布の家とは違う行き先を運転手に伝えるのを見て、思わず大きな声が出てしまう。
「少し寄り道したっていいだろ?」
私が慌てても、朝比奈さんは悪びれる様子もない。
今の時刻は午後三時を過ぎたばかり。マイペースな彼にあきれたものの、家に帰っても両親はいないし、とくにすることもない。
暇を潰すには丁度いいのかもしれないと考えて口を閉じた。
「本当だったらドライブでもしたかったが、披露宴で酒を飲んでしまったからな」
後部座席の窓の外に広がるどんよりとした空に視線を向けて話す朝比奈さんの様子を見て、釣書に書かれていた趣味を思い出す。
「ドライブが趣味なんですね」
「ようやく釣書を見たようだな」
「はい」
コクリとうなずくと、朝比奈さんが白い歯を見せて笑う。