エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす

「今日はありがとうございました」

コンサートが終わり、家まで送ってもらうタクシーの中で朝比奈さんにお礼を伝える。

「俺も楽しかった。ありがとう」

オーケストラが奏でるハーモニーはとても美しくて、聞き応えがあった。

まだ余韻が残るなか、夢見心地でタクシーに揺られていると、彼がスマホを操作し始める。

クラシックコンサートでは音を立てるのはマナー違反。演奏中はスマホの電源はオフにしなければならない。

忙しい彼のことだ。もしかしたらコンサート中に仕事関係の連絡が入って、それを確認しているのかもしれない。

緊急の呼び出しがあったのではないかと気にかけていると、彼がスマホから視線を上げる。

「再来週の日曜日の予定はどうなっている?」

「えっ?」

思ってもみない質問に驚いて返事に詰まる私にかまわずに、朝比奈さんが話を続ける。

「スケジュールを確認したら、来週は大阪(おおさか)工場の視察が入っているから無理だが、再来週なら都合がつく。どうだ?」

スマホを見ていたのはスケジュールを確認するためで、トラブルがあったのではないとわかって安堵する。
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