エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす

今週は結婚披露宴で来週は視察。彼が忙しいのは理解できたけれど、なにが『どうだ?』なのか見当がつかない。

「再来週の日曜日はとくになにもないですけど」

取りあえず質問に答えると彼が満足そうにうなずく。

「そうか。だったら午前十一時に家まで迎えに行く」

再来週の日曜日の午前十一時に、朝比奈さんがウチに迎えに来てくれるらしい。でも、肝心な目的がわからない。

話についていけずに戸惑っていると、彼の眉間にシワが寄った。

「ドライブに行こうと約束したのを忘れたのか?」

コンサートホールに向かうタクシーの中でドライブの話題を持ち出した私に、朝比奈さんは『今度、一緒に行こう』とたしかに言った。

あの誘いが本気だったとは思ってもおらず、息を呑む。

少し強引なところはあるけれど、紳士的で頼りがいがある朝比奈さんと一緒に過ごすのは嫌じゃないし、今まで一度も経験のないドライブデートには憧れがある。

「忘れていません。再来週、楽しみにしています」

「ああ。俺も楽しみだ」

約束を交わした途端、当日の天気が気になり始める。

梅雨の晴れ間になることを祈りながら、初めてのドライブに胸を躍らせて彼と微笑み合った。
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