愛はもう
彼のことは、ずっと前から知っていた。

私がまだ高校生だった時、彼は地元でアパレルをしていた。
若者に人気のお店で、私の友達も通っていたからか、SNSでよく見る人だった。
現に私も1度だけ彼に接客をしてもらったことがあった。
「あ、この人、よくイン〇タで見かける人だ。
え~めちゃくちゃかっこいいな。」
と思ったがその時は深く話すこともなく、店員と客というだけで終わった。

何年か経ち、私も仕事を始めてしばらくたった頃。
当時頻繁に遊んでいた友人から連絡がきた。
「今日、私の友達のアキって人が遊ぼうって、由美しってる?」
彼だった。
「あ~わかるよ!あのお店で働いてる人だよね!
ちゃんと話したことないけど、大丈夫かな、、(笑)」
「大丈夫!由美がいること言ってあるし、イン〇タで見たことあるって言ってたよ。」
これが彼との出会いになった。

始めは緊張してうまく話せなかった。
でも彼はとてもフレンドリーな人で、接客業をしていることもあってか、話が上手かった。
「俺、趣味でDJやってるんだ。良かったら今度遊びにおいで。」
そう話す彼の腕にはタトゥーが入っていた。
私には、「タトゥー=怖い人」という偏見があったが、なぜか彼は怖くなくて、
「もっと遊びたい、もっと彼を知りたい。」という思いが強くなっていくばかりだった。

何度か友人も含めて遊び、彼とも仲良くなっていった頃、突然連絡がきた。
「由美ちゃんと二人で出かけたいんだけど、ご飯でもどうかな?」
嬉しかった。
私は、多才で好きなことを仕事にしている彼は、別世界の人だと思っていた。
「この人と付き合えたら、、」なんて考えることもあったが、すぐに現実に戻って恥ずかしくなっていたくらいだ。
そんな彼からの誘い。断る理由がなかった。
仕事を終えると、家の近くまで彼が迎えに来てくれた。
お願いします、と言い車に乗ったとき
「これ、あげる」
そういって、当時私がはまっていたドリンクをくれた。
「え、これ今めちゃくちゃはまってるんです!」
そう言うと彼は、
「知ってる、前遊んだときも飲んでたから買っておいた。」
と笑いながら言った。
年上ゆえの余裕さと、彼の気遣いに私は簡単に落ちた。

その日はいろんな話をした。
驚くほどにお互いの恋愛観が同じだった。
この人と付き合いたい、だれよりも近くでこの人を知っていたい。
そう思っていた時だった。
「俺、初めて会った時から由美ちゃんのこと可愛いと思ってたんだ。
言わなかったけど、すごいタイプ。」
驚いた、まさかそんなこと思ってくれていたなんて。
「私も、初めてアキさんのこと見たとき、かっこいいって思いましたよ。
もう何年か前のことですけど(笑)」
続けて私は、
「こうやって遊べるようになって、もっとアキさんのこと知りたいって思ってます。」
自分でも恥ずかしいことを言ったと我に返ったとき、彼から言われた。
「付き合ってほしい、由美ちゃんのこと好きだよ。」
嬉しかった、私じゃ不釣り合いだと勝手に諦めていたから。
「私もアキさんのこと、好きです。」

その日から私たちは始まった。
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