クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
思い余った私は、先日の拓哉さんの言葉を思い出した。


『例えば、エッチな下着で迫ってみるとか』


半分……いや、多分九割九分、からかわれていると思う。
私が助言に従って、エッチな下着を着て奎吾さんに迫ったところで、大人で完璧な彼がぐらつくはずがない。
むしろ、淫らな女と嫌悪されるかもしれない。
眉をひそめて呆れられたら、ショックで立ち直れない。
だけど……。


『大事な妻に頑張って求められて、喜ばない夫はいないよ』


頑張って、求める。
ゼロ地点から前に進めない仮面夫婦を卒業するために、私にできるのは頑張ることだけ。
少しでも可能性があるなら賭けてみたい。
たとえ呆れられても、なにもしないで逃げたままでいるより、ずっといい。
なにも好転しなかったとしても、挑戦して頑張った結果なら受け止められる。


その日の帰り、私は途中駅で下車して、ショッピングセンターに立ち寄った。
小一時間ほど買い物して、マンションに帰ってきた。
脇目も振らずに自室に突進して、しっかりとドアを閉める。
ベッドの上にペタンと座り、買ってきたものを目の前に広げて並べ――。


「ううう……」


顔を突っ伏し、頭を抱え込んだ。
生まれて初めて入った、海外セレブ御用達のセクシーランジェリーショップ。
私よりちょっとお姉さんっぽい、グラマラスな店員さんが応対してくれた。
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