初恋幼馴染みに求婚されました
「もしかしてそれって小野さんのこと?」

相手を当ててしまった。

相槌も打てないほどの衝撃を受ける。
まさか正君も知っていたなんて__。

やはり2人の関係は間違いではなかったのだ。
もしかすると社内では有名な関係なのかもしれない。

「その顔、当たりなんだ」

少しの間固まっていたものの、コクっと頷いた。

目にじんわりと涙が浮かんでくるのがわかる。

「梨華ちゃん、言っとくけど小野さんは宗太朗の彼女なんかじゃないよ。昔から宗太朗に好意を持ってるのは知ってるけど」

慰めているつもりだろうか。

「……でも、宗君のプライベートの写真を持ってたの」

深い関係でなければ撮れないような写真だった。
昨夜私としたようなことを小野さんとは通常しているということを表わすようなもの。

「それは宗太朗には話した?」

首をゆっくりと左右に振った。

「きちんと話をした方がいいんじゃない?」

それはみなみにも言われたことなのに、怖くてできないでいる。
昨夜アルコールの力を借りて聞けばよかったとも思うけれど、そんな状態で話すことではない。

「梨華ちゃんは宗太朗がいい加減なやつに見える?」

「ううん。でも、宗君と私は政略結婚だから自信がないの……」

正君から視線を外し、テーブルの上の小さなグラスに入れたポトスの葉を指でちょんちょんと押す。
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