初恋幼馴染みに求婚されました
なんだか余裕で面白くない。

「宗君は?」

「うーん、いつだったかな、でも俺も昔から梨華のことを想ってたよ」

本当だろうか。
私に合わせている気がしてならない。

「じゃあ宗君もこれまで彼女はいたことないの?」

宗君は少し黙った後に「まぁ」と言葉を濁した。
なんて嘘が下手なのだろう。
バレバレだよ__宗君。

「そっか、宗君に彼女がいなかったわけがないよね」
 
今まで何人と付き合ったかとか、どれくらいの期間付き合ったかとか、どんな女性だったかとか、気になって心がモヤモヤしたけれど、過去を責めても仕方がない。

ただでさえ子供っぽいと思われているに違いないから、余裕のあるふりをしてさらっと言った。
でも彼は強がりを簡単に見抜き「これからは梨華だけだよ」という台詞で私を喜ばせる。

「信じていい?」

「もちろん」

「じゃあもう過去の女の人のことは忘れることにする」

せっかく想いが通じたのに、嫉妬心をむき出しにして喧嘩したくない。
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