秘密の恋は何色?
はじまり
ミーン、ミーン―。
セミの鳴き声が聞こえる保健室。
夏休み前の学校で今日も私たちは出会う―。
「みほちゃんせんせー、いるー?」
「あら、華菜ちゃん。どうしたの?」
「体育の授業で転んじゃって。絆創膏ある?」
「あらあら。ちょっと見せて。」
そういいながら手招きをしてくれるみほちゃん先生。
今年来たばかりの新任の保健室先生で私のはとこ。
小さい頃から転んでばかりの私をいつも気にかけてくれる優しいお姉ちゃん。
「うん、ちゃんと傷口は洗ったみたいね。消毒するからしみるよー。」
そういうけど、みほちゃんは上手だから一度も痛かったことはない。
「はい、おしまい。」
「ありがとう、みほちゃん。あっ、せんせー。」
「ふふっ。まだ慣れないわね、先生って。」
「だって~みほちゃんはみほちゃんなんだもん!」
そうふくれてみるけれど効果はない。
「でも今年から入れてよかったわ。」
「どうして?」
「華菜ちゃん、危なっかしいし受験勉強も見れるしね。」
「うっ……。嫌なこと思い出させないでよ。」
「もう、中3の夏なのに志望校見つからないの?」
「どこもパッとしないんだもん。それに私の将来はもう決められてるし…。」
「私だって決まっていたのは知ってるでしょう?華菜ちゃんも本気でやりたいことを探してみるのもいいんじゃないかしら。」
「やりたいことか…。」
そういいながら高校のパンフレットを広げる。
女子高から共学まで、様々な学校を見てみるがやっぱり行きたいところなんて見つからない。
「そういえばここって附属中学校だから隣の高校にいけばいいんじゃないの?」
「隣って鬼山高校のこと?」
「そう、華菜ちゃんの成績なら余裕でしょ?それにー」
「みほちゃん先生、華菜様かりてもいい?」
< 1 / 13 >

この作品をシェア

pagetop