8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3
 次にオリバーの部屋に行くと、こちらは布団を蹴飛ばして寝ていた。

「元気がいいな」

 オスニエルは苦笑しつつ、布団をかけなおす。オリバーは暑いのか「んん……」と眉を寄せたが、再び深い眠りに落ちていく。

「熟睡しているな」

 現在、双子は王都の学校に通っている。きっと、日々忙しく過ごしているのだろう。オスニエルが後宮に戻る頃にはたいてい寝ていて、朝くらいしか話すタイミングがない。

(今度、ゆっくり休暇を取らなくてはな。こちらの方が子供不足だ)

 王として威厳のある姿を見せなければと思うあまり、普段はそっけなくしてしまうが、オスニエルだって思い切り子供たちを抱きしめたいのだ。

 最後に夫婦の寝室の扉を開けると、聖獣姿のドルフが声をかけてきた。

『残念だったな。フィオナなら寝てしまったぞ』

 ベッドにはフィオナがいるのであろうふくらみが見える。枕もとには、淡い銀色の光を放つ聖獣姿のドルフが、フィオナを見守るように座っていた。

 ドルフは、フィオナの故郷であるブライト王国に住んでいた聖獣で、彼女に加護を与え、守っている。オスニエルからすると、舅のようなものだ。フィオナを幸せにしないのなら、子供ごとまとめて連れ去ってやると公言されている。

 ドルフには時間を操る能力があるらしく、オスニエルが彼女を殺したという七度の人生を巻き戻し、オスニエルがフィオナと向き合うきっかけを作ってくれた。

(信じがたい話ではあったがな……)

 もちろん、オスニエルには巻き戻りの記憶などない。
 父王から命じられたこの結婚が気に入らず、輿入れ道中に襲わせて逃げ帰らせようと企んだオスニエルは、飄々とやって来たフィオナに驚いた。
 てっきり泣き暮らすものだと思っていたフィオナは、予想外にたのしそうに後宮ひきこもり生活を満喫していた。
 かと思えば、突然孤児院の支援をしたいと活動的なことも言い出す。

 オスニエルは、フィオナのことが気になって仕方なかった。そして気が付けば彼女を目で追うになっていたのだ。

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