悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【２】

　静かに続けると「さすが話が早いな」とまつ毛を伏せられる。

　噂の密輸騒ぎとは、最近エピナント国の各地で報告されている新種の植物の話だ。

　突然、人が暴れ出して事件を起こし、正気を失った犯人は多くの犠牲者とともに命を落とす。

　そして、犯人のほとんどがリマイナ草という植物を所持しており、その成分の解析をしたところ、精神が支配されて人体に悪影響を及ぼす有害植物だと判明したのである。

　事件が起こってからリマイナ草は国のブラックリストに指定されたが、網の目をくぐるようにどこからか密輸されて国内に蔓延しているのだ。


「ここのところ、獣人が次々と被害に遭っている」


　なるほど。リマイナ草は獣人には効きが強いらしい。

　ただでさえ、獣人はそこらの人間やエルフより力が強い。自我を失って暴れでもしたら止められる者はいないだろう。


「つまり、違法植物の密輸ルートを一刻も早く見つけなければならないということですか？」

「ああ。エスターに公務に参加するよう頼み、国中の薬師にも見つけ次第取り締まるよう伝令を出している。レンテオも主犯の男を追っている最中だ」