悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
階段を一番下まで降りると、自然とランプの炎がともる。
シルヴァンは古城のカラクリに胸を躍らせて、後ろからついて来ている兄へ振り返った。
「すごいね、ヴォレンス! これはどんなしくみなんだろう」
すると、一方のヴォレンスは耳と尻尾を伏せたまま警戒の顔で辺りを見回している。
シルヴァンは、そんな兄にまばたきをして続けた。
「こわいの?」
「な、なにが! こわくないよ!」
シルヴァンは知っていた。
普段はやんちゃな兄は夜中にトイレに行くとき、こっそり母を起こしていることを。
うっかりおねしょをしてしまったときは、シーツを爪でビリビリに引き裂いて庭に埋めていたことを。
以前、王都の城にやって来た劇団が披露した人形劇が恐ろしく、頭にずっと残っているようだ。
「てぇつなぐ?」
「……えっ?」
「ぼくもちょっとだけこわいから」
シルヴァンが小さな白い手を差し出すと、少しの間の後、ヴォレンスが「うん」と頷いて手を握った。