悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました【2】
まずい。この言い方じゃあ、噛まれたがっていると勘違いさせてしまいそうだ。
間違ってはいないのだが、直接的すぎて恥ずかしくなる。
なんて続けようか悩みながら黙っていると、彼は静かに眉を寄せた。
ど、どういう心境? 嫌な気分にさせたかしら。
長いまつ毛の影が頬に落ちて、美しい伏し目に視線が釘付けになる。
「不安にさせたならすまなかった。……しかし、俺はエスターの希望を汲んだんだぞ」
「希望?」
思いもよらぬセリフに目を丸くしたとき、彼が涼しげに続けた。
「〝甘噛みよりキスがいい〟とねだっただろ?」
爆弾発言に思考が停止した。
ねだった? 私が? いつ?
こちらの混乱を察したのか、彼が話しだす。
「エスターが酔った夜だ」
「もしかして夜会の日ですか?」
「ああ。やはり覚えていなかったんだな」
話によると、珍しく甘えてくる私に少々ベッドでいたずらをしていたところ、彼は酔っ払った私に怒られたらしい。