君のおとうとじゃない。
エピローグ
 あれから三年後。

 私は今、アパレルのお仕事をしながら一人暮らしをしている。
 
 今住んでいるアパートの鍵をふたつ、大家さんから渡されたから、岳に一本渡してある。きっと彼が高校を卒業したら、一緒に暮らすんだろうなぁ。

 結構な割合で、私が仕事を終え、家に帰ると彼がいて、ご飯を作ってくれている。ちなみにメニューは、私の好きなカツ丼が七割ぐらい。

 彼は高校三年生になって、私よりも大人っぽくなった。しっかりしているから、最近は色々頼っちゃう。
 あ、でも昔から頼っちゃってたかな?

 ふたりの関係は、姉弟から恋人になった。
 私にとっての彼は、完全に義弟の存在ではなくなった。

 彼は私の事、一回もお姉ちゃんだと思った事はないらしいけれど。
 
『妄想告白シチュエーションノート』は、『リアル胸キュンノート』になった。

 岳が胸キュンな事をしてくれた時、その内容と感想を書くの!

 今三冊目!

 彼はたまにこっそり読んでいる。

 なぜ分かるのかというと、今でも本棚の本は色順に並べてあり、たまに、ノートは違う色の場所に戻されているから。

 そして、読んだと思われる日は、岳の表情がぽかぽかしている気がする。
 いつの間にか、このノートを彼が読むって事を意識しながら書くようになった。

「よし! 今回の分、書けた!」

 読んだ彼の心がキュンとしてくれるのを想像しながら、静かにノートを閉じた。
 
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