秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 さらに、私がカミラと和解したこと、なぜか気に入られたようですっかり懐かれていることを教えたら、アズフィール様は「誰からも好かれてしまうのが、いかにも君らしい」と苦笑いしていた。
 アズフィール様はラベンダーとシネオールがほどよく混じった香りがよほど気持ちよかったのか、初めてお灸をしながら眠ってしまった。端正な目もとに長い睫毛が影を落とし、形のいい唇が薄く開いて呼気を吐き出す。起きている時よりも少しあどけなく感じる寝顔を見つめながら、トクンと胸が熱を帯びた。
 夜の静寂に、普段より少し速い自分の鼓動が鼓膜に反響していた。

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