秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「一瞬誰かと思ったよ。ドレスアップすると、君はガラリと印象が変わる。いや、実に美しい」
「そんな。ヴァーデン王子ったら、あんまりおだてないでください」
 私とヴァーデン王子は扉の前を離れ、一旦廊下の端に場所を移した。
「お世辞なんかじゃないよ。……私はね、最初に君を見た時から気品のある子だなと思っていたんだ」
 ヴァーデン王子は妙な溜めの後で、後半の台詞を告げた。私を見つめる彼の目は親しげだった。
「もう、お上手なんだから。でも、ありがとうございます」
 真っ直ぐに告げられる賛辞がこそばゆく、私は苦笑いで答えた。
「……あら? あそこにいるのって、アズフィール様だわ」
 その時、廊下の窓から見下ろした前庭の角にアズフィール様の姿を見つけた。
「なんだって?」
 私の声に反応し、ヴァーデン王子も前庭へと視線を向けた。
 ……儀式の開会を直前に控えたアズフィール様が、なぜこんな場所にいるの?
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