不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「仕事がらみの相手って可能性はないの?」
「ないとは言いきれないけど、だったら友達と会うなんて嘘をつく必要ないじゃない。それに、あんなに若い女性が斗馬さんと対等に仕事の話をするかな? もっと年上ならまだわかるけど……」
「確かにねぇ。でも、千帆との新婚旅行を控えた夜にわざわざ大胆な行動に出るとも思えなくない?」
「私との旅行中は、逆に彼女に会えないでしょ? だから名残惜しんで会っているとか」
「千帆、落ち着きなよ。思考が後ろ向きすぎてやばいって。とりあえずなにかお腹にいれよう、ね?」

 紗那が諭すように言って、開いたメニューを差し出してくる。

 食欲はまったくと言っていいほど失われていたけれど、心配してくれる紗那に申し訳なくて、アラカルトメニューから冷菜と肉料理、点心をいくつか頼んだ。

 お酒は飲む気になれないので、飲み物は冷たいジャスミン茶にした。

 注文を済ませると、私の視線はまたしても斗馬さんたちの方に固定される。

 とくに会話が盛り上がっている様子も親密そうな雰囲気もないが、胸にはもやもやとした思いが渦巻いて、浮気なのではという疑念をどうしても拭えない。

< 105 / 172 >

この作品をシェア

pagetop