不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
電話の相手はわからないが、斗馬さんは過去に関係を持った女性について話しているように聞こえる。
住む世界が違うからと斗馬さんを忘れようとしていた彼女に『もう一度やり直したい』と泣きつかれて、『心配は無用だ』と、彼が励ました。つまり、斗馬さんは彼女との関係を復活させようとしている?
いや、まさか。だって、あんなに私を激しく抱いておいて――。
「いや、俺も彼女に会いたいと思っていたからよかった。ずっと心に引っかかっていたんだ」
悪い妄想を振り払おうとした直後、斗馬さんが優しい声音でそんなことを言うので、私は奈落の底に突き落とされたような感覚に陥った。
斗馬さんが会いたいと願っていた女性って、誰なの?
天使? それとも、この間会っていた女性?
それとも、やっぱりふたりは同一人物……?
「そろそろいいか、夕飛。今、妻と旅行の最中なんだ」
斗馬さんの口から〝妻〟という単語が飛び出したので、ギクッとして開いていた目を閉じる。
電話の相手は夕飛さんだったみたいだ。思えば、結婚式の日に斗馬さんと天使の話をしていたのも彼だ。斗馬さんを合コンに誘ったのも……。