不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

《おい、そういうことは早く言えよ。邪魔して悪い。じゃ、またな》
「ああ、また」

 夕飛との通話を終えると、千帆の無防備な頬に軽く口づけをする。千帆はゆっくり瞬きをして、目を覚ました。

 彼女にこれからの予定を相談すると、映画よりカジノより部屋で俺と一緒にいたいと言う。

 そのかわいいおねだりに応え、俺たちは再びベッドで戯れ合う。そして千帆の甘い嬌声を聞きながら、俺はもはや勝利を確信していた。

 あの、潔癖で貞操観念が強く、しっかり者で地に足の着いた考えをする千帆が、こんなにあられもなく乱れ、俺を求めてくれる。

 離婚したい相手とこういった行為に及ぶのは、普通なら億劫なはずだ。心の繋がりを大事にする女性ならなおのこと。

 千帆はきっと、俺の過ちを許してくれたのだろう。

 来月、とうとう約束の日を迎えるが、彼女が離婚宣言を撤回してくれたら、その翌日は彼女の誕生日。

 きっと思い出に残る一日にしてみせる。

 そして、改めて俺たち夫婦の未来を誓い合うのだ。


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