不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
佐藤くんが、あの店の背中合わせの位置にいた? まったく気づかなかったけれど、だとしたらもしかして紗那との話を聞かれた……?
「俺、千帆ちゃんの旦那が許せない。浮気したくせに、なんで許されようとしてんの? 千帆ちゃん傷つけておいて、なんであんな風に甘い言葉が口からポンポン出るわけ? 情に絆されてないで、さっさと離婚しなよ」
「佐藤くん……」
やっぱり聞かれてしまったんだ。私の味方をしてくれるのはうれしいけれど、あまり騒がれるのは困る。私たちの結婚、離婚は、個人的感情だけでどうにかなるものではないのだ。
「かばってくれてありがとう。でも、聞かなかったことにしてくれる? 私たちの夫婦仲がうまくいってないのを周囲に知られると、彼のご両親、それにうちの親にも心配と迷惑をかけてしまう。お互いの会社の信用にもかかわるから」
「……なんだよそれ。俺はただ、好きな人をこれ以上泣かせたくないと思っただけなのに」
佐藤くんが地面を見つめ、吐き捨てるように言った。
今、彼はなんて……?
瞠目する私を、佐藤くんは切なそうに見つめる。