不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
食事の後、駅に向かう紗那とビルの前で別れ、私は斗馬さんの迎えを待った。
本当は私も電車で帰るつもりだったのだけれど、紗那が『飲みすぎちゃって歩けなぁい♡って甘えて、迎えに来させちゃいな』なんて言うものだから、勢いで斗馬さんに連絡してしまったのだ。
もちろん、紗那の手本は参考にせず、『迎えに来ていただけますか』と頼んだだけだけれど。
「あと、何分くらいかな……」
小さく呟いて、なにげなく腕時計に目を走らせたその時だ。
「千帆ちゃん」
聞き慣れた声がビルの入り口の方から聞こえ、反射的にそちらを振り向く。
そこに立っていたのは佐藤くん。驚いて目を瞬かせる私に、彼はスタスタと近づいてくる。
「偶然だね。佐藤くんもこの辺りで食事していたの?」
「そうだけど、別に偶然じゃない」
「えっ?」
偶然じゃないってどういう意味?
「ごめん。会社から千帆ちゃんたちの後をつけて、同じ店の、しかも千帆ちゃんと背中合わせの席で飯食ってた。ストーカーじみた行為してごめん。それは謝る。だけどさ……」