すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 その言葉を交わしてから、いよいよ今日告白するのだと実感してきて、一日中ずっとドキドキしていた。

 私も部活で美術室に行き、花瓶に入っている花の絵を鉛筆で描いた。そわそわして絵に集中出来ない。

 もう陸くん、教室にいるかな?ってぐらいに私も教室に向かう。

 教室のドアの窓をほんとにちらっとだけ覗くと、外を見ている後ろ姿が見える。

 ――今からこの人に、告白するんだ。

 自分の心臓がバクバクと勢いが増してきた。落ち着かせようと、制服の上からそっと心臓辺りに手を添えた。

 私の声が陸くんに届くように、数センチだけドアをそっと開ける。

 彼と顔を合わせないように。
 姿を見ないように。

「ドアの前まで来てもらえる? 絶対にドアを開けないでね!」

 小さな声で私は彼にお願いをする。
 彼の動く気配がする。
 
 ドアの前に来た気配。
 私の心臓の音が高鳴る。

 あぁ、ドキドキする。緊張しすぎて立てなくなり、ドアに背中をつけてしゃがみ込んだ。

 ゴトンと音が聞こえて、なんとなく、彼も今ドアに背中をつけて、同じ姿勢をしている感じがした。

 このドアがなければ、彼と私の背中は今、くっついているんだ。こんなにも近くにいる。そんなことを考えると、余計に胸が高まる。

 気持ちを落ち着かせようと、ゆっくり深呼吸した。
 そして思いを、言葉を、彼にぶつける。

「ずっと、好きでした。付き合ってください」

……。

しばらく彼は無言で、ただ音のない時間が刻々と過ぎていく。

 ――返事を考えているのかな?

「おう、いいぞ!」

「……!」

 はっ? えっ? ちょっと待って?   
今、想像していなかった声が!


 ――嘘でしょ? 何で悠真がここにいるの?

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