【完結】終わった恋にフラグはたちません!

それからの伊織は僕達と同じ大学へ進学。学年も違うからそうそう逢うこともなかったけど、偶然構内で見かければどこか伊織を目で追いかけてしまっていた。

──そしてそんな日々が二年ほど経過したある日。
大学を卒業し商社に勤め始めて二ヶ月ほど経った頃、大学時代のある友人から電話をもらったのだ。

「──で、どうよ、最近そっちの方は?」

その友人、高橋は今日も話しの途中でいきなり話題を変えてくる。大学時代からよくあることだしあまり気にしてはいなかったが当然、僕の頭の中では “?” マークが浮かぶ。

「……そっちとはどっち?」
「女だよ女! 祐一は今、彼女いるのか?……あ─いや、いないはずないよな─」
「いないけど」
「マジか!? じゃあさ、今度テニスサークルの飲み会があるんだけどOBとして祐一も参加してくれねぇ? お前参加してくれると女子達の集まりがめちゃいいからさ─」

僕は餌か。──でもまぁ、卒業してから部にも顔出してないし後輩にも逢いたいしな……

「わかった、参加する。──で、その飲み会っていつ? 仕事と調整して……」
「あ、急でわりぃ。今週の金曜日なんだ」
「は? 金曜日って明後日だぞ? 突然過ぎるだろ」
「あ──まぁ、い、色々あってな。それより来れそうか?」

僕は鞄からスマホを取り出し明後日の予定を確認。いつもの金曜なら何かしら予定は入っているが、幸いなことにその日は特に何もない。

「あ─、大丈夫、行けそう」
「良かった! じゃあ─、後でラインに時間と場所送るわ」
「あ、高橋……司には連絡取った?」
「司? あぁ、一応連絡したけど明後日は予定あるみたいでパスだってさ」
「あ─……わかった」

……そうか、司来ないのか。
出来たら伊織ちゃんのことを少し聞きたかったんだけどな。大学卒業してから彼女のこと見てないし……

卒業した今、彼女との接点は司を通してでしかなくなってしまった。けれど、その司ともお互い忙しくなってからはなかなか連絡を取れていない。

まぁ、接点が繋がっていてもなかなか自分から動けないのがなんとも情けないところ。正直、自分から告白しようと思ったのは司の時だけだし……まぁ、それも未遂に終わってしまったけれども。

そんなことを悶々と考えながらの帰り道──早速、高橋からのラインが届いた。

< 37 / 110 >

この作品をシェア

pagetop