暗殺者と暗殺者の危険なラブトラップ
ここはある国のある都市、小さな島国のはなしだ。

わたしは駅にむかっていそいでいた。
今日は出勤日だったのに、ねぼうしてしまったのだ。
昨日の愚行をはじる。
昨日は・・・夜遅くまで劇を見に行って、それから駅前の屋台で飲みあかしたんだっけ。
わたしには物事を逆算して考える力というものがそなわっていないみたいだ。
遅刻したらまた、ボスに嫌味をいわれる・・・!

猛ダッシュで走っていると、舗装されていない地面にひっかけてパンプスがぬげてしまった。
こんにゃろ!!いそいでるのに!
「お嬢さん、そんなにいそいでどこに行かれるんです?」
そのとき、くつくつと笑いながら、背広姿の知らない男が話しかけてきた。
「舞踏会ですか?」
敬語男はわたしの服をながめまわして言った。
女性でスーツ姿なのがめずらしいんだ。
ジロジロみられるのはすっかり慣れた。それよりはやく会社に行かなくちゃ!
「そうです!!靴を返してもらえますか!」
わたしは靴をはきはきふたたび猛ダッシュで走り始めた。
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