皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
ソフィアはそれを難なく交わし、さりげなく護衛に撤する。

ほおーー。やるではないか、近衛騎士長を努めていたのは伊達ではないな。

ルイスはソフィアを観察し、その実力を認め感心しきりだった。

女の身で、あれほどの働きをするには相当な努力も苦労も覚悟もあるに違いない。

だか、少しぐらい息抜きも楽しみもあって良いではないかと、サッとソフィアの側に歩み寄った。

丁度。
舞踏の波が1段落し、曲の切れ目に差し掛かった時だった。

「Shall we dance?」

ルイスは言うが早いか、ソフィアの手を取った。

出席者の視線が一斉に、ソフィアとルイスに集中する。

ソフィアは突然のルイスの行動に、一瞬戸惑ったものの、すぐさま平静を取り戻した。

ルイスのリードに身を委ね、自然と曲に乗り踊った。

ソフィアも一応、貴族。

いざと言う時のため、舞踏の心得はある。
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