私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
「あるある、もちろんよ。
もし可能なら・・途中まででいいから、坂本さんと一緒に学んでもらえると、彼の支えになるかな」

「え? 一緒に、ですか?」

「勉強するモチベーションが上がるでしょ? お互いにね。特に坂本さんは、奥さまと一緒なら頑張れそうだから」

ウフフ、と師長さんは楽しそうだ。
私もつられて笑顔になる。

「それにほら、奥さまはIT関連にお勤めなんでしょ? 周りにメンタルケアの必要な予備軍がいるんじゃないかしら。IT系は多いって聞くけど」

「確かに・・そうなんです」

納期に追われて、時間に追われて、プレッシャーが積み重なって・・。
疲れてきってしまう同僚を何人も見てきた。

いい機会かもしれない。

「私もいま術後の休暇中で、時間に余裕があるんです。夫とふたりで挑戦してみます」

「良かった! 坂本さんが3ヶ月もお休みだなんて、もったいないと思ってたのよ。力仕事ができなくても、彼はここに必要な人だから。
講座や教材のサポートもしてるから、パンフレット読んでみて」

「はい。夫にも話してみますね」


師長さんの部屋を出て、院内のカフェで飲み物と軽食を買い、彼の病室に戻る。
ちょうど点滴の交換で、目が覚めたようだった。

「紗絵、おかえり」

「蓮斗、起きたんだね。なんか、ずいぶんスッキリした顔してる」

「うん、だいぶ。感覚が、戻ってきた」

「そっか、良かったね」

「紗絵、どこに・・行ってたの?」

「師長さんと少しお話しして、カフェに寄り道」

私は、買ってきたコーヒーのカップと紙袋を見せた。
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