私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
牧師・・さん?

「あ・・。勝手に中に入ってすみません」

彼が男性に謝ると、ニコッと笑って私たちの方に歩み寄ってきた。

「いえ、構いませんよ。ライトアップやステンドグラスが綺麗だって、見に来てくださる方が時々いるんです」

「そう・・なんです。バスから教会が見えて、綺麗だなって彼と話していて」

「そうでしたか・・。
あの・・もし良ければ、おふたりにお願いがあるのですが」

「はい、何でしょう? 僕たちにできることなら」

「実は私、明日初めて結婚式を執り行うんです。
いま、モーレツに緊張していまして」

「・・そう・・なんですか?」

お願い・・って、何だろう。

「もう一度、明日の練習をしようと思いここに来たら、ちょうどおふたりがいらして。
もし良ければなんですが・・私の練習台になっていただけないでしょうか?」

「いいですよ、もちろん」

「えっ? ええっ」

そんな、あっさりいいって言っちゃうの?
恥ずかしい・・。

「紗絵は嫌なの?」

「嫌じゃないけど・・」

「・・けど?」

「恥ずかしい・・じゃなぃ・・」

そう言った私を見て、彼と牧師さんが顔を見合わせる。

「可愛らしい彼女さんですね」

「あ、いえ、妻なんです」

「えっ? ご夫婦なんですか? なんというか、恋人同士のオーラがあふれていて、いい意味でご夫婦には見えませんでした」

「アハハ。さっきも妻に『好き』って言われました」

「本当ですか? 羨ましいなぁ」

私はふたりの間で、ひとり顔を赤くしていた。
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