7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
家に戻ってくると、着替えを済ませた翔次が夕飯の準備を始めた。
「あの…今日は、私が作りましょうか? 」
「え? いいよ。僕、料理作るの好きだから。凜さんは座ってて」
「でも、食事を作るのは女性の役目ですから」
「うーん、そうだろうけど。僕は、作った料理を誰かに食べてもらうのが好きだからさっ」
そう言いながら、手際よく料理を作り始める翔次。
手慣れている手つきで作っている翔次を見ていると、こんなにできる男を世の女性がほっとかないだろうと凜は思った。
(付き合ったことがない)
翔次はそう言っていた。
メガネをかけている翔次は、確かにモテそうな感じは受けない。
だが、女性への配慮や気づかいは人一倍できている。
どうして、誰とも恋際した事がないのだろうか?
そんなことを思いながら翔次を見ていた凜。
間もなくして夕食が出来上がった。
今夜は焼き魚と出汁巻き卵、そしてこんにゃくと人参の煮物。
シンプルな和食だが、とても美味しそうに見える。
凜に用意されたお箸が、新しいお箸になっていた。
赤色に桜の花びら模様が描かれている、上品で見ているとホッとさせられる。
7日間の彼女の為に新しいお箸まで用意してくれるなんて…。
ちょっと感動しながら、凜はご飯を食べていた。
「ねぇ、凜さん」
食べ終わる頃、翔次が話しかけて来た。
「あのね、ちょっとお願いがあるんだけど」
「お願いってなんですか? 」
「いや…一緒に写真を撮ってほしいんだ」
「写真ですか? 」
「うん。結婚式のね」
はぁ? 結婚式?
なにを考えているの? 殺されると言うのに…。
「ダメかな? ほら、この先。僕は、結婚なんてできないから。凜さんの、願いを叶えたら僕はこの世からいなくなるわけだから。一生の思い出に、結婚式をしましたって写真を残しておきたいんだ」
「それでしたら、私ではなくても…」
「凜さんは、僕の彼女だから。彼女と一緒に写しておきたいんだ」
結婚式…。
言われてみれば、私だってこの先、結婚なんてできないわね。
この人を殺したら刑務所の中で一生終わるだろうし、仮に出て来れられても犯罪者と結婚してくれる人なんていないから…。
凛はじっと翔次を見つめた。
冴えない感じだけど別にいいかな、ただの思い出だけだし。
「そうゆう事なら構いません。写真だけですよね? 」
「うん、そうだよ」
「分かりました」
凜が返事をすると、翔次は満面の笑みを浮かべた。
「有難う。じゃあさっそくなんだけど、明日一緒に行ってもらえる? 」
「明日? 」
「明日は有給をとったから、オフィスビルの中にある写真館を予約したんだ」
予約しているなんて、まるで私が承諾するのが判っていたような感じだけど。