7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「…父さん…至らない息子で、ごめんなさい…」
「何を言っている! お前は、宇宙で一番最高の息子だ! 死なないでくれ! 」
血まみれになった翔次をギュッと抱きしめた疾風。
パトカーのサイレン音と救急車のサイレン音が鳴り響く中、さやかは警察官に取り押さえられ連れて行かれた。
ストレッチャーで運ばれる翔次に、疾風が着き添って行った。
騒然としたオフィスビルの一角。
逃走してきたさやかは、執念で翔次を自ら殺す為にやってきたのだろうか? それとも、やり場のない感情の整理ができなく暴走してしまったのだろうか?
翔次が撃たれた事は凜の下にも連絡が入った。
さやかが脱走して、翔次を殺しに行くなんて…逮捕されて、素直に刑に服してくれればと願っていたが最悪な結果となってしまった。
金奈総合病院に運ばれた翔次は懸命の処置が行われていた。
だが…
肺を痛めている翔次は、だんだんと様態が悪化する一方だった。
医師は全力を尽くしたようだったが…。
運ばれてから2時間後に、翔次は息を引き取った。
奏弥も病院に駆けつけてきた、さやかに撃たれた事を知り怒りのやり場がなく拳を壁に殴りつけていた。
「申し訳ございません」
深夜の病院のロビーで、凜が疾風と奏に深々と頭を下げた。
「凜さん、頭を上げて下さい」
「そうよ、凜ちゃんは何も悪くないから謝る事はないわ」
疾風と奏はそう言ってくれるが、凜は姉であるさやかがしでかした事であるには違いないと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「…私…もう、二度と姿を現す事は致しませんので。…」
もう一度深く頭を下げた凜は、そのまま急ぎ足で去って行った。
「ちょっと待って! 」
凜を追いかけようとした疾風を、奏弥が止めた。
「俺に任せて。彼女とは、同僚だったからさっ」
「そうだったのか? 」
「ああ、俺がちゃんと話してくるよ」
そう言って奏弥は凜を追いかけていった。
「そう言えば、奏弥が何年か前に。年上の女の人が好きだって話していたわ。初めて恋をしたから、どうしたら良いのか分からないって悩んでいた事があったの思い出したわ」
「奏弥は、身体が弱くて20歳まで生きていられないかもしれないって言われていたけど。弁護士にまで出世してくれて…翔次より長生きしているんだな…」
「…そうね…」
霊安室に運ばれた翔次は、とても穏やかな表情で眠っている。
撃たれて悔しそうな表情でもなく、全てに安心しているような顔で眠っている。