7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 1ヵ月後。

 翔次が亡くなってから宗田家では、ようやく通常の日々を取り戻しつつあった。

 奏弥は如月家から宗田家に戻る事を決め、籍も宗田に戻す事にして手続きを始めた。
 そして、弁護士を辞めて疾風の後を継ぐ決意をして半年程アメリカ支社に行き研修を受け、日本に戻り暫くは営業部に所属してそれから副社長へ就任する流れになった。
 弁護士として軌道に乗っている時に勿体ないと、周りからは言われたが翔次との約束もある為跡継ぎへの道を選んだ。
 事務所を退職する事を決め、引継ぎや残処理をしてバタバタと過ごしていた2週間だった。


 凛はあれから幸治と友里が退院してきて、桐野宮家に戻っていた。
 今までさやかに酷い事ばかりされていても、何もできなかった事を詫びた幸治と友里は仕事を減らして凜との時間を大切にすることにした。
 亡くなった翔次と入籍している事を話すと、驚いてはいたが祝福してくれた。
 ただ、本当の夫婦としていられたのは72時間もなかったと凜は話している。

 
 宗田ホールディングでは、翔次が亡くなった悲しみがまだ漂う中いつも通りの業務が開始されていた。
 副社長がいない分、疾風の仕事量が増えて毎日残業の日々が続いている。
 奏では疾風の秘書として補佐している。


 翔次がかけていた保険金がようやく降りてきて、凜が受取人として受け取る事になった。
 
 その金額は驚くほど高額で総合計8000万ほどあった。
 健康なうちから保険をかけていた翔次は、自分の将来を見据えて高額保険に入っていた。
 最近結婚した報告をして受取人を、以前は兄である奏弥にしていたようだが凜に全て変更していた。

 保険金を受け取った凜は、自分は妻として何もしていないからと言って全額を宗田家に渡すと言い出したが、これからも凜とは家族として接してゆきたいから将来に役立ててほしいと疾風に言われて凜に託された。
 そして翔次が本来受け継ぐ筈だった財産も、全て凜へ受け継がれる事になった。

 大金を受け取っても複雑な気持ちの凜は、宗田家に戻る事はなくそのまま実家に住み続ける事にした。
 新しく仕事も探したいのもあり、もう暫くそっとしておいてほしいと凜は言っている。


 宗田家で荷造りをしている奏弥。
 それほど荷物はいらないが、色々と持ってゆきたい物が多くて結局大きなスーツケースになってしまった。

「さてと、このくらいでいいかな」

 荷造りが終わり一息ついた奏弥。

 アメリカへの出発を明日に控えた奏弥。

「翔次、何も心配しなくていいからな。後は、俺が父さんと母さんを護って行。そして、会社も護って行から」
 机の上に置いてある翔次の写真を見て、そっと微笑んだ奏弥。 

 翔次の写真の横には、凛が忘れて行ったネックレスも置いてある。
「凜さん…」

 ネックレスを手に取ってギュッと握りしめた奏弥。

 
 それぞれの未来へ向かって進み始めた今日この頃。
 新たな出発へどんな方向へ進んで行くのだろうか?


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