成果報酬有りの家庭教師にイケメン弟の写真というにんじんを鼻先にぶら下げられて、もう走るしかない。

何故こうなった。

 メッセージアプリの画面に今までの最高得点を記録したテストの点数が入った答案用紙の画像を送ると、間髪入れずに抜群にイケメンの写真画像が返ってくる。

 折原凌くん。キリッとした凛々しく整った顔を持つ、我が校のバスケ部期待のエース。

 学校でもモテモテな彼が、部活ですっかり疲れてしまったのか。彼の家の中と思わしき大きなソファで、リラックスして寝入っている無防備な寝顔を見られるのは、きっとこの写真を送って来てくれた彼の姉と私の二人だけのはずだ。今のところ。

「うれしぃいぃ」

 私はベッドの上に寝っ転がって、余りの嬉しさにバタバタと両足を動かした。

 なぜ私がこんなスペシャルレアな彼の写真を手に入れることが出来るかと言うと、それにはちょっとした事情があった。

 二年後に大学受験を控えているため、そろそろ本格的に学力アップをと言うことでつけてもらった家庭教師は、どうやら私の学力を上げているという成果があればボーナスアップ出来るという契約を家庭教師派遣会社と交わしているらしい。
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