成果報酬有りの家庭教師にイケメン弟の写真というにんじんを鼻先にぶら下げられて、もう走るしかない。
 最初、親から家庭教師を紹介して貰い、彼女になんだか見覚えのあるような気がした。男子生徒が受け持たれることになれば、さぞ大喜びするだろうと思わせる美しく整った顔立ちに、清楚で凛とした雰囲気を纏っている。

 毎日勇気を出して折原くんが居る隣の教室をチラッと覗く時に、少しだけ見ることが出来る顔に良く似ている。

 さっき聞いた彼女が持つ、折原という苗字。これは間違いないと、思った。部屋に入り二人きりになった時、彼女に私が「あの……もしかして、弟さんが居ませんか?」と我慢出来ずに聞いてしまった。

 そうして、折原くんの激レアプライベート写真というにんじんが鼻先にぶら下げられ、喜んで勉強して走る馬になることが決定してしまったのだ。
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