美しすぎる魔王様に助けられて異世界で偽装結婚? でも美容師としても働きますよ。
第1話 四天王

私はいつしか窓からの景色に夢中になっていたようだ。

すると、突然後ろから誰かの声が聞こえて、驚き振り返った。

そこには先程、魔王様と一緒に居たロマンスグレーの男と、他に3人の男性が立っていたのだ。

その中の一人が話し始めた。

「へぇ~。魔王様が連れて来た人間の小娘ってのは…こいつのことか。」

乱暴な言葉で話し始めた男は、この4名の中でも一番背が高く逞しく見える。
白いドレスシャツを着ており、腕まくりをしている。
その腕には恐ろしいほどの筋肉が付いているのが分かる。
しかし、顔に目を向けると、この男もかなり端正な凛々しい顔をしている。
吸い込まれそうな金色の瞳と、鮮やかなオレンジ色の髪をしていた。
髪にはゆるいカールが付いていて、後ろに無造作に束ねている。

「あ…あの…ど、ど、どちら様でしょうか?」

すると、ロマンスグレーの男が口を開いた。
よくみると、この男はキリスト教などの聖職者が着るキャソックのような黒でロングの詰襟の服を着ている。
モデルのような顔立ちのため、とてもかっこよく見える。

「先程は、私も名乗らずに失礼したが、そなたの名前を教えて欲しい。私は魔法使いのロジャー・バルトという。」

(…やはり魔法使いなんだ…確かにイメージの通りだ…)

「わ…わ…私は…樋口…真由と言います。」

すると、一番にニヤリと笑ったのは、最初に声を掛けて来た乱暴な言葉遣いの男だった。

「お前は変わった名前だなぁ…真由というのか。俺は獣神のアラン・ドラゴンロイドだ。覚えておけ。」

(…この人乱暴な話し方だけど、すごい綺麗な金色の瞳…獣神?…)

< 10 / 144 >

この作品をシェア

pagetop