男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
「外国の術者?として、何かアドバイスないか」
「何、治療そんなにうまくいってないの?」

 ルディオが、何やら思い返したくない不都合な事実を思った顔をした。

 しばらく間があった。外から鳥の鳴き声が、数回聞こえてくルディオらいの時間がたっぷり流れていく。

「……まぁ、そう。全然進歩もしていない」
「何が起こったのかは聞かないけど、私は外国の術者だから役に立てないよ。この国の魔女か、魔法使いをあたった方がいいと思う」
「外国の術者って、つまり魔法の術ってことだろ?」
「違うよ。魔術」

 ルディオが小首を傾げた。これも、何度目かのやりとりだ。

(魔力を使うのは同じだから、私も説明できないんだよなぁ)

 基本というか、その仕組みの何もかもが違っているのだ。エリザはずっと師匠ゼットの手を見て育ったから、魔法の方がちんぷんかんぷんになる。

(この国を出て、ずっと歩き続けたら魔法がない国もあるのかな)

 その時、ルディオが立ち上がる。
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