甘いお菓子のように
「中島さん、</table>を消してます」

「</table>ですか?」

「これは、tableタグを使ってるんです。ここを見てもらえれば分かるんですけどアコーディオンboxの下にtableクラスがあるでしょう」

「はい、そうですね」

「その、終了タグ</table>が消えてたのでエラーが起きてしまったのです」

「なるほど・・・」

「おそらく、何かの拍子に誤って消してしまったのでしょう」

「すいません・・・」

わたしは深く反省した。

おそらく、高山くんに失恋してそのことで頭がいっぱいだったから無意識に消してしまったのだろうと思った。

紅子さんはため息をつくと「今回は早めに問題箇所が分かったからいいですが、一度問題が起こるとエラー箇所を探すのって結構大変なんです。なので、コードは触らないように気を付けてくださいね」と言ってきた。

「はい、すいません」

そして、紅子さんは何事もなくじぶんの仕事を再開した。

わたしは、パソコン画面を見ながらキーボードを打つ紅子さんに恐る恐る声をかけた。

「あの、もう一つ報告がありまして・・・」

「え?」

「進撃の小人の映画記事のURLも管理表に追加したそうです」

「あぁ、ファイナルシーズンが映画化されたんですね」

「あ、そうなんですか?詳しいですね」

「分かりました。今度は失敗しないように進撃の小人の映画記事も関連記事として追加お願いしますね」

「はぁ〜い」

わたしは、謝るように軽くお辞儀をしてからパソコンに向き合うと今度は慎重に関連記事の追加を行った。

そのとき、わたしは紅子さんをチラッと見た。

紅子さんはいつもと変わらないクールな表情で仕事をしていた。

けど、どこか今日は苛立っているようなそれを無理やり隠してるような気がしたけど

わたしの気のせいかもと思った。
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