エデンの彼方でいつかまた

企み

瑞希が敬信の婚約者となったことは、世界に大々的に報道された。

『運命の恋人と再開!』
『現代のシンデレラガール』

等々……。

歓喜と祝福の感情と比例して羨望と嫉妬、様々な感情も上がっていく。

中でも顔を青ざめさせたのは、かつての瑞希の同僚たちである。

「まじかよ、白羽が……」
「しかもケイシン……提携グループの副会長だったんでしょ、ヤバくない?」

留乃と学武の父親が突然、部署異動させられたことは既に知られている。

元々好かれていなかった上司たちとはいえ、それなりの役職にいた人物たちだ。
それが何の前触れもなく異動になったのだから、何かの力が働いたのだと察せざるをえない。

「白羽が副会長に、この部署内でのできごとをしゃべったら……」
「私たちも危ないってこと?」
「そんなこと、できる人じゃないわよ」

皆が戦々恐々とするなか呆れた声を出したのは、留乃である。

今までならば首を縦に返事するしかできなかったが、その男は睨んだ。

「もとはと云えばおまえのせいだぞ。おまえに逆らえば親父に告げ口されて、おれたちが飛ばされるから、仕方なくおまえに付いたんだ」

「そうやって、何でも人のせいにしていたらいのよ。それに私は何もしてないわ。同僚を指導していただけ」

「なんだと、この……!」

殴りかからんばかりの同僚は他の同僚にたしなめられ、舌打ちをしてデスクで頭を抱え込んでいる。

留乃は腕組みをした。

正直、気に入らない。
仕事でもそう簡単に入店できない、あの店にいたことが。

そして何かおかしい。

いくら気になっていた相手と再会したからといって、こんなに急に発展するものだろうか。

しかも相手はケイシン。

「調べてみようかしら。当たっていたら面白いし」

留乃は魅力的な唇の端に笑みを浮かべた。
< 19 / 33 >

この作品をシェア

pagetop