君は見ていない
母が市内の病院に入院したのは、確か夏の甲子園が終わる間際だった。
遙はその日、塾の授業で夜の6時まで塾にこもりきりだった。
塾から帰った遙が目にしたのは、
「お腹が痛むので病院に行ってきます」
という、走り書きのメモだった。
瞬時に、遙は嫌な予感を感じ取っていた。
───少しの痛みなら、クリニックで済ますはず──。
ただ事でないのは、明らか
遙はその日、塾の授業で夜の6時まで塾にこもりきりだった。
塾から帰った遙が目にしたのは、
「お腹が痛むので病院に行ってきます」
という、走り書きのメモだった。
瞬時に、遙は嫌な予感を感じ取っていた。
───少しの痛みなら、クリニックで済ますはず──。
ただ事でないのは、明らか


