それは手から始まる恋でした
　　　＊＊＊

「それで、どうしたんだ？」
「いや。マジで彼女の肌が真っ白ですべすべで柔らかくて極上だった」
「へぇ。やっとか」

　そう。ようやく紬の手以外に肌に触れることができた。出張中彼女が俺との約束を破って戸崎先輩と飲みに行った日は仕事もおろそかになっていた。

　紬は一方的に電話を切るしこれ以上紬を怒らせまいと我慢した。声を聴きたくても聞いたら聞いたで男がいないかとか問い詰めそうでそれなら1日も早く帰る方がいいと頑張った。こんなにも出張が嫌だと思ったことはなかった。

　何故俺はこんなに紬に執着するのか。自分でも分からない。1日早く日本に帰って紬を驚かそうと家で待っていたが帰ってこないしようやく会えたらあらぬ疑いをかけられるしで最悪だったが、彼女を見た瞬間早くあの唇を奪いたくてあの手に触れたくて仕方なかった。しかも俺に触れられたくてエステとか可愛すぎ。

　触れたら触れたで気を失うし起きてキスして今度こそはと思ったら案の定男性経験なくて、俺は週末お預け状態。彼女が痛がる顔を見るとどうしても先には進めない。

　それでも週末はずっと彼女の体に触れまくって幸せ一杯だ。恥ずかしがっている彼女もすごく可愛い。思い出すだけで笑みが溢れる。

「俺今までモデル体型が好きだと思ってたんだけど違ったみたい。見る分には綺麗だけど触ってるときあんな風に感じたことなかったんだよ」
「ホッカイロちゃんってぽっちゃりか？」
「いや、標準体型じゃね？」
「胸とか尻がでかいのか？」
「そんなに大きくない」
「じゃぁ何がいいんだ？　俺にはさっぱりわからん」
「いいんだよ。彼女の良さは俺だけが知ってれば」

　他の男に触らせる気も毛頭ない。彼女は俺に夢中だし、変な虫が寄ってこないように気を付ければもう紬は俺のものだ。
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