鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
私に会えたのが嬉しくてたまんない、って顔で神月さんはにこにこ笑っているが。
ほんとにセキュリティ、どうなってんの!?
ここは発売前の新商品情報が詰まる、機密の宝庫なんですが?

「えっと……」

「苺チョコちゃんはかまわずに仕事を続けていいよ。
僕は邪魔しないようにおとなしくしているから」

「はぁ……」

また隣の椅子を引っ張ってきて、そこへ座る。
どうしていいかわからないので助けを呼ぼうと袴田課長の席を見たが、そこに彼はいなかった。

「えっと……。
ちょっと待ってて、くれますか」

「うん」

模範的な、いいこのお返事をした神月さんを残し、パソコンをロックして席を立つ。

「国元さん!
袴田課長は……」

「ねえ。
なんで神月伶桜がここにいるの?」

国元さんと私が口を開いたのは、同時だった。

「あ、袴田課長ね。
袴田課長なら、営業部の人と外回りに出てるよ」

すぐに仕切り直し、彼女が答えてくれる。

「なら部長は!
下間(しもま)部長は!」

「部長は今日、一日会議だって朝、言ってたでしょ」

「ううっ」

……詰んだ、詰んだな……。
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