鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
「……ねえ。
なんで神月伶桜がいるの?」
私の背中を半ば押さえ、声を潜めて国元さんが改めて訊いてくる。
ちらちらと私の席へ視線を向けながら。
「……わかりません。
課長か部長なら知ってるか、せめて対処してくれるんじゃないかと思ったんですが……」
私も彼女と共にちらちらと彼を見る。
神月さんは私の困惑になど気づかずのんきに、物珍しそうにきょろきょろと周りを見ていた。
「マズいですよね、いくら宣伝モデルとはいえ、部外者がここにいるの」
「そうね。
でもなんでここに入れたの?
普通の入館証じゃドアロック、解除できないのに」
「ですよね……」
各部署のドアは社員証を鍵代わりにしてロックが解除されるようになっている。
同じ社内の人間ですら、権限がない人はロックは解除できないのだ。
なのに神月さんはこんなに簡単に、ここへ入ってきているのだろう。
「とりあえずカフェテリアに連れていって事情を……は、ごめん。
期待しないから大丈夫」
ぽん、と慰めるように国元さんの両手が私の肩を叩く。
わかってくださっているのは大変ありがたい。
なんで神月伶桜がいるの?」
私の背中を半ば押さえ、声を潜めて国元さんが改めて訊いてくる。
ちらちらと私の席へ視線を向けながら。
「……わかりません。
課長か部長なら知ってるか、せめて対処してくれるんじゃないかと思ったんですが……」
私も彼女と共にちらちらと彼を見る。
神月さんは私の困惑になど気づかずのんきに、物珍しそうにきょろきょろと周りを見ていた。
「マズいですよね、いくら宣伝モデルとはいえ、部外者がここにいるの」
「そうね。
でもなんでここに入れたの?
普通の入館証じゃドアロック、解除できないのに」
「ですよね……」
各部署のドアは社員証を鍵代わりにしてロックが解除されるようになっている。
同じ社内の人間ですら、権限がない人はロックは解除できないのだ。
なのに神月さんはこんなに簡単に、ここへ入ってきているのだろう。
「とりあえずカフェテリアに連れていって事情を……は、ごめん。
期待しないから大丈夫」
ぽん、と慰めるように国元さんの両手が私の肩を叩く。
わかってくださっているのは大変ありがたい。