聖夜に舞い降りた灼熱のサンタクロース
サンタの格好で靴下にお札を忍ばせる友人を想像し、苦笑する。


就職後も再建費用として毎月お金を入れていた純次。おかげでお店は数年後に復活。

あれからメニューは少し変わったものの、名前はそのまま、お兄さん一家が引き継いで経営しているらしい。



「……あの服、まだある?」



スマホをいじる彼女にポツリと質問を投げかけた。



「何の服?」

「赤いニットと、チェックのスカート。まだ持ってる?」

「ああ、あれ? もうないわよ。ボロボロだったし。スカートは大丈夫だったけど、入らなかったから実玖(みく)にあげた」

「え、そんなに体型変わったのか?」

「めちゃくちゃ太ったってわけじゃないんだけど、ウエストがきつくてね。あれゴム入ってないから」



妻は頬杖をつくと、「気に入ってたんだけどねぇ」と名残惜しそうに呟いた。

独身時代は毎年着用しており、結婚してからも時折着ていたが、劣化が目立ってきたため、3年前の大掃除で処分したという。



「覚えてたんだ」

「サンタだけじゃなくトナカイも引き連れてたからね」

「やだっ、バレてたの?」

「バレるも何も、一目見てすぐわかったよ」
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