年下男子は恋愛対象になりますか?
翌日。隼人君のアパートの近くではなく、郊外にある別のショッピングモールに来ていた。

やっぱり行かなくて大丈夫ですってあのあと言われたけど、どうしても行こうって押しきった。隼人君の好きなもの教えてもらいたかったから。

「ここだよ」

財布に書いてあったブランドのお店の前で足を止める。店員さんに見られたら恥ずかしいから、繋いでいた手は少し手前で離していた。

「え、ここって」

「うん。隼人君が使ってる財布のお店。……好きなのかなって思ったんだけど合ってる?」

違ってたら完全にリサーチ不足。
彼女なのにそれってどうなのかと自分でも思う。

驚いたあと嬉しそうに微笑んでくれた。

「あの、隼」
「いらっしゃいませ。今日は彼氏さんと来て下さったんですね」

私の声を遮ったのは相談に乗ってくれていた男性店員。隼人君より髪の毛が長めで、髭が似合うオシャレな人。

「そうなんです。今日も色々と見させて下さい」

「ありがとうございます。ゆっくり見ていって下さい」

私と隼人君が軽く頭を下げたあと、店員は仕事へと戻っていった。

「ねぇ、誕生日プレゼントここのお店でいい?好きなものとか欲しいものあったら教えてほしいな」

「由夏さんからなら何貰っても嬉しいです。なので、嫌じゃなければ由夏さんが選んでくれませんか?」

「それだと、またしばらくこのお店に通うことになると思うけど……」

「あー、その件は本当にすみませんでした。昨日も言いましたけど、由夏さんを見たって奴にからかわれてどうかしてたんです。まさかこんなに早くから探してくれてるとは思ってなかったので。本当にすみません」

すみませんって何回聞いただろう。
そんなに謝らなくても大丈夫だし、落ち込まないでほしい。
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