年下男子は恋愛対象になりますか?
披露宴が終わって席を立つと、ドアの外で彩と勇太とそれぞれのご両親が待っていてくれた。

「今日はありがとな」

「由夏、これ受け取って。また会おうね」

勇太が大きなカゴを持っていて、彩から手渡されたのは小さな箱。水色の箱に白のリボン。THANK YOUと書かれているシールが貼ってある。

流れに乗って進んでたから、気の利いたこと何も言えなかった。ありがとうってただのお礼だし、私のバカ。

「どうする由夏、私達も休憩して行く?」

「うん。ちょっとトイレ行ってくるね」

ロビーには立派なソファーがたくさんあって、先に出ていた弘樹と蓮が座っていた。美樹と晴香も座ったのを確認してから移動する。

戻る前に追加で撮った写真を隼人君と共有した。たくさんあるから笑ってるかも。また「由夏さんの写真を」って送られてくるかな。

「あ、あの子余興で歌ってた子じゃん。声かけてみる?」

「あー、俺はあの子より他の子がいいなぁ。背が高すぎるのはちょっと」

そんな時に聞こえた、私のことを話してると思われる声。顔を上げるわけにはいかないから、気がつかないふりをしてスマホから視線を移さなかった。

久しぶりに身長のことを言われた。
慣れてるから別にいいけど、聞こえるように言わないでほしかったな。

私から「早く会いたい」って送ると、「俺もです」って届いた。嫌なこと全部吹き飛ぶし、隼人君パワーは本当に凄い。

「一緒に歌ってた子達はどこにいるんだろ?二次会って行くのかな」

「じゃあさ、あの子に聞いてみる?」

いやいやいや、声かけられても困るんですけど。

「そんなアホなこと言ってる奴は、向こうだってお断りだろ。酔っぱらいマジうぜーって思われて終わりだって。やめとけ」

思わず顔を上げると目が合った。
私達のあとの余興でドラム叩いてた人。

まずい、聞こえないふりしてたのバレたよね。最悪。

会釈されたので同じように返す。
隼人君も将来あんな感じになりそうだなと、ふと思った。
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