年下男子は恋愛対象になりますか?
「…………は?」

見たことないぐらい険しい表情をしている隼人君。いつもよりも声も低い。

「瑞穂ちゃんが可哀想だと思いません?」

そうだった。昂輝君は勘違いしているんだった。
私があの子から隼人君を奪ったって思ってる。

「思いません。松田が貴方に何て言ったか知らないですけど、俺達付き合ってたことなんてありませんから。それに由夏さんに告白したのは俺の方です」

「え、マジ!?」

隼人君が戻ってきて喜んでいたあの子の顔が、みるみる険しくなっていく。やっぱり昂輝君に吹き込んでいたらしい。

「でも、隼人のこと好きって気持ちは私の方が先だった――」

「瑞穂ちゃん、俺に嘘ついてたの?あんなに由夏ちゃんが悪いって言ってたじゃん」

「何よ、お金の為に色々してるアンタになんか言われたくない!」

昂輝君の表情も険しくなる。
ポケットからお札を取り出し、あの子の手に握らせていた。きっと少し前に受け取っていたもの。

「これ返す。俺、この件から降りるわ。確かに金は好きだけど、嘘つかれるの大嫌いなんだよね。瑞穂ちゃんに同情して損した」

「なっ……!」

私と隼人君をよそに、目の前で繰り広げられている会話。どうやら仲間割れしたらしい。急展開すぎて頭が追いつかない。

「由夏ちゃんも隼人君もごめんな?」

「……今後、俺達に近付くのはやめて下さい。それに、その呼び方やめてもらえますか?気安く由夏ちゃんだなんて呼ばないで下さい」

隼人君の声は低いままだった。

「はいはい、邪魔者は退散しまーす」

ヒラヒラと手を振りながら、改札方面へと歩いて行った。昂輝君の件はこれで一件落着したと言ってもいいのだろうか。

「由夏さん、もしライブ会場で会ってもアイツとは話さないで下さいね!?何かあったらすぐに連絡して下さい」

「う、うん。分かった」

そして残ったのは、私と隼人君とあの子。
可愛い顔が悔しさでいっぱいになっている。


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