砂浜に描いたうたかたの夢
…………え?
「慌てて隠してたけど、俺はこの目でちゃんと見たぞ。お前がめちゃくちゃ美味そうな桃を持っていたところを!」
ビシッと自信満々に指を差した智。
なんだ、そっちかよ……。
凪くんのことではなかったと分かると、全身に入っていた力がどっと抜けて、その場にへなへなと座り込んだ。
「もう、ビックリさせないでよ。一体何事かと思ったじゃない。普通に聞いてよ」
「だって、こうでもしないと絶対口割らねーと思ってたから。丸々1個食うの?」
「なわけないでしょ。あれはひいおばあちゃんにあげるの」
「ひいばあちゃん? 頼まれたの?」
「いや、実は……」
腰を上げて最初から説明した。
「白寿と百寿かぁ。でも、お祝いはもうしたって言ってなかったっけ」
「そうだよ。だけど、せっかく来たんだから、やっぱり何かしたいなって」
百寿祝いは来年でもできるけど、白寿祝いは今年しかできない。
それに、来年も必ず帰省するとは限らないし、ひいおばあちゃんも必ず元気でいるとは限らない。もし入院しちゃったら、それこそ直接祝えないから。
「慌てて隠してたけど、俺はこの目でちゃんと見たぞ。お前がめちゃくちゃ美味そうな桃を持っていたところを!」
ビシッと自信満々に指を差した智。
なんだ、そっちかよ……。
凪くんのことではなかったと分かると、全身に入っていた力がどっと抜けて、その場にへなへなと座り込んだ。
「もう、ビックリさせないでよ。一体何事かと思ったじゃない。普通に聞いてよ」
「だって、こうでもしないと絶対口割らねーと思ってたから。丸々1個食うの?」
「なわけないでしょ。あれはひいおばあちゃんにあげるの」
「ひいばあちゃん? 頼まれたの?」
「いや、実は……」
腰を上げて最初から説明した。
「白寿と百寿かぁ。でも、お祝いはもうしたって言ってなかったっけ」
「そうだよ。だけど、せっかく来たんだから、やっぱり何かしたいなって」
百寿祝いは来年でもできるけど、白寿祝いは今年しかできない。
それに、来年も必ず帰省するとは限らないし、ひいおばあちゃんも必ず元気でいるとは限らない。もし入院しちゃったら、それこそ直接祝えないから。