砂浜に描いたうたかたの夢
ジョニーの頭をワシャワシャと撫でる父。
そんな父の姿を、祖父はお酒片手に微笑ましい顔で見ている。

なぜこうも親子で違うのだろうか……。



「ありゃ、もうなくなったのか。母さーん! まだあるー⁉」

「おい、まだ飲むのか。もうやめときな」

「いいじゃねーかぁ、ちょっとくらい。こういう時しか堪能できねーんだからよぉ」



止める祖父を振り払い、「おーい、母さーん!」と、グラスを持ったまま祖母を呼び続ける。


うるせぇなぁ! この呑んだくれが! そんなに飲みたいなら自分で持ってこいよ!

……って言ってやりたいぃぃ。でも絶対喧嘩になるから言えないぃぃ。くそぉぉぉ。



「叔父さん! 俺呼んできますよ!」

「お! いいのか⁉ ありがと〜」



不快感丸出しで口を引きつらせていたら、智が手を上げて立ち上がった。


……あぁ、そういうことね。

目配せしてきた彼に続き、自分も腰を上げて祖母と伯母がいる台所へ。



「ねぇ、叔父さんがお酒欲しいって」

「お酒? どれ」

「茶色い瓶のやつ」

「あー、焼酎ね。冷蔵庫にあるから」
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